2014年4月2日水曜日

ボストンの想い出

1977年にバークリー音楽院のサマースクールに参加したのだが、同室のSちゃんはもう立派なキーボード奏者で柴田はつみのバック等バリバリ東京で仕事をしていた。参加者の中には有名はギタリストHさんやドラムのYさんなど相当ハイレベルな方達がいて驚かされた。毎晩のように近くのライブハウスへ通い、その頃音楽院の日本人講師としてタイガー大越さんや齋藤純さんが我々の授業のサポートや通訳をしてくれていたが、毎晩のように市内のライブハウスへ連れて行ってくれた。ある夜、全盛時代のスタッフのライブがあって、ライブ終了後に齋藤純さんがガッドに紹介してくれ握手したことは一生忘れられない思い出だ。まだ黒髪ふさふさ、目がぎらぎらの頃のガッド。ステージでのガッドのイメージとは違って意外と小柄で優しい笑顔が印象的だった。そして忘れてはならないのは、エヴァンスとの再会であった。東京でのコンサート以来4年ぶりのライブをボストンで見ることができた。エディ・ゴメス、エリオット・ジグモンドとのトリオ!さぞ、満杯の客席と思いきや、ガラガラ!一緒に行ったSちゃんと思わず顔を見合わせた。スタッフのライブが超満員だったせいか、尚更その差のあまりの違いに唖然とした事を覚えている。しかし客席のまばらさとは裏腹に演奏そのものは熱く、次から次へと溢れるエヴァンスのアドリブフレーズに釘付けになった。CDで聴く演奏とは違って、弾き過ぎではないかと思えるほどの激情に溢れたエヴァンスの演奏は、近寄りがたい神々しさの中に深い孤独感を漂わせているように感じた。しばらくしてこのメンバーでの編成は解散し、マークジョンソンとの最後のトリオ編成となる。そして3年後の1980年9月15日に彼との永遠の別れを迎えることになる。

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