2014年4月14日月曜日

母の事

半年ほどの病院での闘病生活の後、母が平成26年1月19日に天に召された。亨年86歳、波乱に満ちた人生だったが、どんな思いで最後を迎えたのか今となっては知る由もない。自分の事より他の人を優先する気づかいの人であった。私の父は、私が4歳の頃病気で他界したが、その後、母は再婚した。それこそ幾度となく天国と地獄とも言える境地を味わった母。最後は地獄から天国への光が差し始めた矢先に、現世では待ち切れなかったとみえて早々に本当の天国へ逝ってしまった。どんな逆境にもへこたれることなく、少なくとも私の前で泣いている姿は見たことがない。7人兄弟の末娘として、軍人だった厳格な父に厳しく躾られながら、戦中戦後の辛い日々を育った母は、他人から見れば逆境ともいえる境遇に陥ろうと、些かの動揺もなく在りのままに受け入れる強さをもっていた。そんな母が一度だけ私の前で取り乱した事があった。今でもその時の事を思い出すと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。二人だけで共有していた思いは永遠に私だけのものとなった。いつの日か天で再開したおりに二人して思い出すことになろう。天の母は26歳で他界した父と語らっているのだろうか、、、。亡くなる一ヶ月程前に、病室から見える公園に亡くなった父が立っていると見舞に行っていた私の家内に告げたそうだ。半世紀ぶりの再会、父の喜んでいる姿が目に浮かぶ。

0 件のコメント: